和歌と俳句

金閣寺

左千夫
八十国の つかへまつりて 作らへる 鹿苑院は 青葉せりけり

左千夫
金閣を 囲む池水 池水を 囲む木立や 君が俤

左千夫
おばしまに 手弱女 倚れる 金閣を 霧らふに見れば 夢に似るかも

左千夫
お広間は 寂と神さび 花瓶を 四尺の青磁 対に据ゑたり

左千夫
かくやくと 黄金かがやく 高閣に 仏の御影を 拝し給はく

左千夫
金閣は 歌舞にふさはず 林泉の 高き好みは 見るに潔けし

左千夫
み灯霞む 鹿苑院の 沈の香や 山ほととぎす 閣近く鳴く

晶子
金閣や 寺紋かきたる おん幕の 中に御茶煮る 下臈の法師

晶子
金閣寺 北山殿の 林泉に いつ忍び入り 咲ける野薔薇

草城
鳥啼くや狭霧うするる金閣寺

虚子
春雨の傘さしつれて金閣寺

青畝
水澄みて金閣の金さしにけり

白秋
苔清水 ひびきつたふる 幽かなる 金閣寺の庭を 我家にぞ聴く

白秋
金閣は 細みちよろぐ 水の音の ただもはらなる 夏の日にして

秋櫻子
巣立鳥相阿彌の庭に下りて鳴く

秋櫻子
相阿彌が据ゑける石に梅雨の苔

蛇笏
鹿苑をめぐりて水の雪日和