和歌と俳句

遅日

遅き日やしかまのかち路牛で行 素堂

遅き日や雉子の下りゐる橋の上 蕪村

遅き日のつもりて遠きむかしかな 蕪村

折もてるわらび凋れて暮遅し 蕪村

遅き日や草をくさぎる大手前 蕪村

遅き日や谺聞ゆるの隅 蕪村

遅日を追分ゆくや馬と駕 召波

遅き日を見るや眼鏡を懸ながら 太祇

遅日の光のせたり沖の浪 太祇

遅き日やひとへからげる草履道 几董

砂を摺大淀舟や暮遅き 一茶

曙覧
のどかなる花見車のあゆみにもおくれて残る夕日かげかな

旅籠屋に夕餉待つ間の暮遅し 子規

蜜とれば鶏も戻りて遅日かな 碧梧桐

法話より詩話の遅日や把栗寺 碧梧桐

遅き日や家業たのしむ小百姓 鬼城

遅き日の暮れて淋しや水明り 鬼城

海に浸る檜の匂ふ遅日かな 碧梧桐

案内者の長き袴も遅日かな 泊雲

花漬を買ふや遅日に枕して 碧梧桐

この谷の遅日におはす庵主かな 虚子

三度炊きて遅日まだある大寺哉 普羅

遅き日や岩のうしろの潮の花 禅寺洞

たかだかと塩屋の橋の遅日かな 禅寺洞

手焙や遅日の火種灰の中 草城

冷やかに牡丹蕾み居る遅日かな 水巴

退庁や遅日となりし築地河岸 風生

人気なき嵯峨藪道の遅日かな 泊雲

松の間の大念仏や暮遅き 虚子

ひとり来て句会支度や寺遅日 爽雨

裏山に登れば遅日尚在りぬ たかし