正月の玉の日和のいらかかな 蛇笏
水仙いちりんのお正月です 山頭火
お正月の熊本を見おろす 山頭火
ことしのお正月もお隣のラヂオ 山頭火
お正月の母子でうたうてくる 山頭火
正月を惜しみてかすむ旅人かな 月二郎
正月の花屑かかる籬かな 月二郎
お地蔵さまもお正月のお花 山頭火
お正月のからすかあかあ 山頭火
お正月の鉄鉢を鳴らす 山頭火
正月や胼の手洗ふねもごろに 久女
雑草霽れてきて今日はお正月 山頭火
藪からひよいと日の丸をかかげてお正月 山頭火
お正月のあつい湯があふれます 山頭火
こゝに舫うてお正月する舳をならべ 山頭火
正月の髷一高を出で来たる 波郷
金の雲ちらし入る日もお正月 石鼎
祖母恋し正月の海帆掛船 草田男
正月のふしづけ澄みてゐたりけり 蛇笏
正月の太陽襁褓もて翳る 誓子
湯にぬくめ喪の正月の五十の身 林火
正月やつちくれざまの小墓撫で 静塔
正月や炬燵の上の朱短冊 たかし
正月の小川跳び越え旅の夫婦 欣一
炭俵焚く香正月法善寺 欣一
正月のこころわかきはわれのみか 蛇笏
正月の油を惜しむ宮の巫女 蛇笏
人よむに如かず正月諷詠詩 蛇笏
正月の墓参の坂を老姉妹 立子
正月や震災まへのまゝの寺 万太郎
細帯の正月妻といふべしや 不死男
正月を月下美人のつめたき葉 不死男