和歌と俳句

春暁 春の夜明け

名所かな春の曙笠を著て 虚子

春暁のあけきればまた曇りけり 万太郎

杉大樹春の曙に立てりけり 虚子

晶子
花かをり鼠ことこともの噛める春の夜明のなまめかしけれ

牧水
橇の鈴戸の面に聞ゆ旅なれや津軽の国の春のあけぼの

春暁や水車の落す夜の水 蛇笏

春暁や神のごとくに霊のかげ 月二郎

春暁や御陵連ねて大和なる 喜舟

春暁の隠元土をかづきたり 禅寺洞

春暁や人こそ知らね木々の雨 草城

春暁の一水迅し窓の下 草城

春暁や心をつつみて松細葉 石鼎

春暁の天窓過ぎる猫白し かな女

春暁や秣切る肩へ馬の息 青畝

春暁や綺麗に掃きし椿の根 茅舎

春暁を目覚めし神や雲にあり 石鼎

春暁を被きて高き布団かな 汀女

浅間ゆ富士へ春暁の流れ雲 亞浪

春暁の今は日のさす松ばかり 石鼎

春暁や次第にたかくなく雀 石鼎

暁の春の御あかし消えんとす 虚子

春暁の一枝に来し日影かな 石鼎

春暁の何ものもなき青みどろ 石鼎

春暁や筧の響く大廚 泊雲

春暁の牡丹いだける青莟 石鼎

春暁や玻璃との中の長廊下 播水

春暁や先づ釈迦牟尼に茶湯して 茅舎

春暁や音もたてずに牡丹雪 茅舎