和歌と俳句

初日

初日影焦都大阪市を照らす 草城

しろがねの潮たる初日波をいづ 蛇笏

常磐木の包める庵や初日影 石鼎

青き鴨波翔けめぐり初日いづ 秋櫻子

千鳥ゐて初日の川を舟行かず 秋櫻子

初日さす木々は落葉の中に立つ 秋櫻子

初日差月桂樹越し軒端しのぎ 草田男

初日差しこむすごい暗さの町工場 静塔

松ケ枝にかゝりて太き初日かな 虚子

赫奕として初日あり草の庵 虚子

鎌倉の此処に住み古り初日の出 虚子

枯芭蕉八柱立てり初日さす たかし

これよりは珊瑚の波や初日の出 青畝

初日さす畦老農の二本杖 三鬼

揚船の舷撫づる漁夫初日徐々と 草田男

荒海の果敷雲に初日の出 草田男

初日は昇り海は寄りくる音たからか 草田男

一点口にからし初日の汐飛沫 草田男

初日早や負う荷さへぬくめ初む 草田男

何が走り何が飛ぶとも初日豊か 草田男

初日さす林の窪に池のあと 秋櫻子

雲に一微紅みるみる初日大 風生

冲雲を金縁どるや初日の出 悌二郎

噴煙の雲を初日が揺らぎ出づ 悌二郎

めつむるまで初日見ざらんわが臍よ 楸邨

今日だけは初日を浴びよ足の裏 楸邨

初日負ふ東方の山軽んずる 悌二郎

紀の丘の早生豌豆に初日かな 青畝

初日さすことも劫火の底の底 楸邨

初日の出塩壺に手をさしこめば 楸邨

潮けぶりこめても初日さだかなり 秋櫻子

盛り土に初日たつぷり土工居ず 静塔