和歌と俳句

仙台

すずしさや君があたりを去りかぬる 子規

野も山もぬれて涼しき夜明かな 子規

牧水
停車場の 柱時計を 仰ぎつつ 現なや朝の ストーヴの椅子に

牧水
朝づく日 停車場前の 露店に うららに射せば 林檎買ふなり

みちのくの伊達の都の春田かな 風生

まんさくの淡さ雪嶺にかざし見て みどり女

草を焼く籬の間に山河あり みどり女

金魚屋の夕べ急ぎて猿曳町 みどり女

七夕を押し返す風ありにけり みどり女

朗々と山に生れて昼の虫 みどり女

雪を被て鶏舎も一棟なせりけり みどり女

北の街果てなく長し春の泥 汀女

夕焼や梅も桜も固けれど 汀女

はこべらや川岸の名の澱町 汀女

ゆで玉子むけばかがやく花曇 汀女

なほ北に行く汽車とまり夏の月 汀女

冬晴の仙台のこの空の色 立子

晩涼やこけしの顔の出来不出来 上村占魚

吾妹子に似たるこけしの眼すずし 上村占魚

七夕の萱野の雨となりにけり 万太郎

広瀬川

染師らは川のほとりに花むしろ みどり女

白つつじ小さきはたごに夕べ来ぬ みどり女

川狩の子供ばかりの人だかり 汀女

広瀬川胡桃流るる頃に来ぬ 青邨