和歌と俳句

八郎潟

薫風や白帆竝びかねつ八郎潟 虚子

茂吉
年老いて 吾来りけり ふかぶかと 八郎潟に 梅雨の降るころ

茂吉
潟に沿ふ 平野を舟より 見つつゆく おりたつ鳶も 形おほきく

茂吉
この潟に 住むうろくづを 捕りて食ふ 業もやや衰へて 平和来し

茂吉
時惜しみて われ等が舟は 梅雨ふる 八郎潟を 漕ぎたみゆくも

茂吉
しかすがに 心おほどかに なりゐたり 八郎潟の 六月の雨

潟あふれ植田の畔をかくしたり 青邨

老鶯や岬端波の燻し銀 秋櫻子

葭切や潮の早瀬に一漁村 秋櫻子

若き漁夫口笛千鳥従えて 三鬼

白魚を潟に啜りて歎かんや 三鬼

遠い女シベリヤの鴨潟に浮き 三鬼

潟失せぬ刈田の雨に立つけむり 秋櫻子

>時雨るるや潟の名残の鯊釣場 秋櫻子

のこる潟暮れても鴨の水尾ひかり 秋櫻子