和歌と俳句

十和田湖

水神と山鬼と夜を明易うせり 碧梧桐

五月雨や蕗浸しある山の湖 水巴

十和田湖や幣の花かもななかまど 水巴

鵜の羽のこぼれてゐたる渚かな 青邨

漕ぎもどる童の舟に山葡萄 青邨

鴛鴦の沓波にかくるることもあり 青邨

夢がちに明けて湖霧さわぐなり 亜浪

湖の泊りランプが泣いて夜長けれ 亜浪

山湖澄む風にゆかりのなき葉月 草田男

この湖に想羽冷えて夏の鴛鴦 草田男

十和田湖に星飛びたりと便りせむ 青畝

霧迅し十和田の湖の常乙女 青畝

燦々と夕日紅葉の山葡萄 秋櫻子

蔦沼とかこむ紅葉と他は暮れぬ 秋櫻子

黄揚羽がたちて十和田の全景成る 楸邨