宮沢賢治
中尊寺青葉に曇る夕暮のそらふるはして青き鐘鳴る
茂吉
妻とふたり つまさきあがりに のぼりゆく 中尊寺道 寒さ身に沁む
茂吉
金堂は 遠世ながらに 年ふりぬ 山の火炎も ここに燃えねば
茂吉
中尊寺の 年ふりしもの 見まはりて やうやくにして 現しきがごと
曼陀羅に落花ひねもすふりやまず 青邨
たえまなき落花のしたのみやげうり 青邨
身に沁みて仏体近き闇に立つ 楸邨
瑠璃光仏閻浮の闇は虫しぐれ 楸邨
瑠璃光仏とわが見しはさむき闇なりき 楸邨
巣立鳥秘仏開扉に声とほし 秋櫻子
梅雨秘仏朱唇最も匂ひける 秋櫻子
青梅雨の金色世界来て拝む 秋櫻子
金色に在す雪恋厨子の中 静塔
雪知らに三十二相黄金咲く 静塔