俊恵
みちのくの 会津の里に 君はありと 思ふばかりぞ 頼みなりける
蕪村
むら紅葉会津商人なつかしき
釈迢空
朝風に、粉雪けぶれるひとたひら。会津の桜 固くふふめり
釈迢空
雪のこる会津の澤に、赤きもの 根延ふ野櫨は、かたまり咲けり
釈迢空
屋の上は、霜ふかからむ。会津の山 思ひたへ居り。夜はの湯槽に
青邨
湖たひら刈田たひらに烏とび
立子
秋天に今日より永久に鶴ケ城
楸邨
晩稲刈られて何か負ふものばかり逢ふ
与謝野晶子
岩代の会津の庄の少年の腹切りし山いゆきくらすも
遠望無し冬霧に揺れ一炊煙 草田男
厨子ひらき佛居給へりふる時雨 秋櫻子
厨子の中金色ならず時雨冷ゆ 秋櫻子
照りいでぬ光背なれば時雨冷ゆ 秋櫻子
居給ふはたふとけれどもさむき佛 秋櫻子
みちのくのしぐれに拝む大き佛 秋櫻子
雉啼いて磐梯山の崩れけり 子規
磐梯の霧こめて暮色大いなり 碧梧桐
筒鳥や雲磐梯にのぼり消ゆ 秋櫻子
火口壁かたむき新樹せまりたり 秋櫻子
夕波に磐梯が立てり霧晴れて 秋櫻子
磐梯の麓萱刈る一ら見ゆ 青邨
旅名残り雲のしかかる立夏かな 蛇笏
磐梯の雪景も帰路はややに飽く 悌二郎
磐梯の斑雪飛び来て咲く辛夷 悌二郎
寒雪解濛々磐梯揺らめかす 悌二郎
松毟鳥磐梯夕べあをみ来て 悌二郎
秋櫻子
立ちめぐる木々はあれども水芭蕉
秋櫻子
山菜を負ひ来し顔も霧しづく
瑠璃沼に瀧落ちきたり瑠璃となる 秋櫻子
夏の鴨瑠璃沼に魚を獲て翔ける 秋櫻子