和歌と俳句

秋田

牧水
曇さびし いま七日たたば 咲かむとふ 桜木立の 蔭を行き行くに

茂吉
太蕗の 並みたつうへに 降りそそぐ 秋田の梅雨 見るべかりけり

茂吉
うちつれて 學校に行く 少女らを 秋田街上に 見らくし楽し

茂吉
空襲が 一夜のうちに 集中したる 油田地帯と いへば悲しも

秋櫻子
彩つくす夕焼のあとに梅雨の月

秋櫻子
中坪は雪国づくり金魚飼ふ

秋櫻子
破蓮を打つ雨なれば音あらき

秋櫻子
鳴くや明治の洋燈磨かれて

秋櫻子
豊年やくさぐさ並ぶ臼と杵

秋櫻子
散柳窓を飛ぶなり蓑ぼつち

秋櫻子
林檎売り雪来れば穿く雪沓か