和歌と俳句

男鹿

ひれふりてめじかもよるや男鹿島 芭蕉

牡鹿半島秋雲を着ていとかすか みどり女

茂吉
ひといろに さみだれの降る 奥にして 男鹿の山々 こもりけるかも

茂吉
あかあかと 開けはじむる 西ぞらに 男鹿半島の 低山うかぶ

巌壁の裾翔くる鵜の一羽のみ 秋櫻子

舳なる日傘ひらきて窟いづ 秋櫻子

面当の紺に瞳があり冬木伐 楸邨

男みて角巻の背がふとうごく 楸邨

生ける雉子火山半島の路はばむ 三鬼

秋鴎おほへる礁や時化のあと 秋櫻子

岩礁と芒の中の一漁村 秋櫻子

礁めぐる光はうかぶ鴨ならむ 秋櫻子