古今集・東歌
最上川のぼればくだる稲舟の いなにはあらず この月ばかり
後撰集・恋 三条右大臣定方
最上川ふかきにもあへず稲舟の心かるくも帰るなるかな
俊頼
おいはてて なげきする身は 最上川 流れに棹を さすにぞありける
俊恵
さみだれの 晴れせぬころは 最上川 瀬々のいはかど 舟もさはらず
俊成
最上川 瀬々にせかるる 稲舟の 暫しぞとだに 思はましかば
続後撰集・釈経 寂然法師
最上川 人をくだせば 稲舟の かへりてしづむ ものとこそきけ
暑き日を海に入れたり最上川 芭蕉
毛見の衆の舟さし下せ最上川 蕪村
新米の坂田は早しもがみ河 蕪村
旅の秋立つや最上の船の中 子規
子規
草枕旅路かさねてもがみ河行くへもしらず秋立にけり
千樫
この海の沖のすなどりわが見むと最上川口舟出するかも
茂吉
東風ふきつのりつつ今日一日最上川に白き逆浪たつも
茂吉
海にちかづく最上川とし思ほえどいまだ鋭き流たもてり
茂吉
最上川 水かさまさりて けふもかも わがゆく汽車の 方よりながる
茂吉
うつせみの わが身に近く 最上川の 川面ひくし みなぎり流る
茂吉
最上川に そそぐ川あり 一処 ひろびろとして 濁り浪たつ
茂吉
古口の ほとりを過ぎて まのあたり 親しくもあるか 夏の最上川
茂吉
けふの日も ひむがし吹きて 最上がは 空にほとばしり 浪たちわたる