和歌と俳句

万葉集

巻第一

 中大兄近江宮御宇天皇三山歌
高山波 雲根火雄男志等 耳梨与 相諍競伎  神代従 如此尓有良之 古昔母 然尓有許曾  虚蝉毛 嬬乎 相挌良思吉

中大兄近江の宮に天の下知らしめす天皇の三山の歌
香具山は 畝傍を惜しと 耳成と 相争ひき 神代より かくにあるらし 古も しかにあれこそ うつせみも 妻を 争ふらしき

   反歌
高山与耳梨山与相之時立見尓来之伊奈美国波良

香具山耳成山と闘ひし時立ちて見に来し印南国原

渡津海乃豊旗雲尓伊理比紗之今夜乃月夜清明己曾

海神の豊旗雲に入日さし今夜の月夜さやけくありこそ

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