刈萩の根にひこばえや小六月
短日やばたばた閉すみやげ店
短日や小火のありたるキネマ街
冬の日の失せたる塔を仰ぎをり
冬の夜や母の手紙を返し讀む
ふるさとの寒さの中の父母よ
父母の寒き話をききにけり
歳晩の街の横より御陵道
大歳の夕日当れる東山
雪折れの竹をくぐれば光悦寺
清水の舞台の雪を下しをり
満目の雪に少年現れぬ
庇かげはづれて月の雪達磨
冬山の筧の音に遠ざかる
ころがれる氷を蹴つて詣でけり
滝の水氷の裏をつたひをり
眠りたる山ひびかせて岩くだく
紙屋川涸るるともなくせせらげる
涸滝を色めきとびし鶲かな
爛番のしぐれてゐるや大根焚
灯を消せば青き舞台やクリスマス
刈芦を束ぬる人のさまよへり