和歌と俳句

五十嵐播水

1 2 3 4

初冬の庭に筧や二尊院

退院の妻ときくなり除夜の鐘

厳寒や滝見の椅子の厚ぼこり

清水の舞台の上の雪達磨

房垂れに櫨の実黒し初時雨

楽焼の火にあたりたる時雨かな

枯野路や松をたよりの墓三四

中天に月いびつなる枯野かな

焚火漁夫たちまち舟にありにけり

木枯のいよいよつのるみとりかな

美しき布団息あるごとくなり

涸れ川を右し左し探梅行

換えられし厠草履や冬ごもり

冬ごもり家主よりとて畳見に

客去りてもとの庵や冬ごもり

冬木根のあらはに茶屋の休みをり

滝壺によべの嵐の落葉かな

水仙や夜の影もてる飾太刀