和歌と俳句

万葉集

巻第三

<< 戻る | 次へ >>

   門部王在難波見漁父燭光作歌一首 
見渡者明石之浦尓焼火乃保尓曾出流妹尓恋久

   門部王、難波に在りて、漁父の燭光を見て作る歌一首 
見渡せば明石の浦にともす火のほにぞ出でぬる妹に恋ふらく

   或娘子等裹乾鰒 戯請通観僧之呪願時 通観作歌一首 
若海之奥尓持行而雖放宇礼牟曾此之将死還生

   或娘子ら、裹める乾鰒を贈りて、戯れて通観僧の呪願を請ふ時に、通観が作る歌一首 
わたつみの沖に持ち行きて放つともうれむぞこれがよみがへりなむ