さかき葉ゆふしでかけてたが世にか神のみまへに祝ひそめけん
さかき葉の香をかぐはしみとめくれば八十氏人ぞまとゐせりける
みてくらにならましものをすへ神のみてにとられてなつさはましを
みてくらはわかにはあらずあめにます豊岡姫の宮のみてくら
あふさかを今朝こえくれば山人の千歳つげとてきれるつゑなり
よも山の人のたからにする弓を神のみまへにけふたてまつる
いその神ふるやをとこのたちもがなくみのをしてて宮路かよはむ
しろがねのめぬきのたちをさけはきて奈良のみやこをねるやたかこそ
わが駒ははやくゆかなんあさひこが八重さす丘の玉笹のうへに
さいはりに衣はそめん雨ふれど移ろひがたし深くそめては
しなが鳥ゐなのふし原とびわたる鴫がはねおとおもしろきかな
住吉のきしもせざらんものゆゑにねたくや人に松といはれむ
ゆふたすきかくる袂はわづらはしゆたけにとけてあらむとをしれ
安法法師
あまくだるあら人神のあひおひをおもへばひさし住吉の松
重之
いく世にかかたりつたへむ箱崎の松の千歳のひとつならねば
元輔
おひしげれ平野の原のあや杉よこき紫にたちかさぬべく
僧都実因
ねきかくるひえの社のゆふたすき草のかきはもことやめてきけ
源兼澄
おほ淀の禊いくよになりぬらん神さびにたる浦のひめ松
平祐挙
禊するけふ唐崎におろすあみは神のうけひくしるしなりけり
人麿
ちはやふる神のたもてるいのちをばたれがためにか長くと思はん
人麿
千早振かみも思ひのあればこそ年へて富士の山ももゆらめ