『古事記のものがたり』・本のできるまで
その17

「自分の本は自分で売ります。
 “古事記のものがたり”出版までの奮闘記その17


安倍晴明神社に夜参り

もう少し『携帯電話コンテンツ』のことを書きたいので今しばらく我慢して読んでね。本筋の「本のできるまで」の話は次回のその18で書くからね。

わぁー、大変だ。この連載をしばらく休んでいたので、話がどこまでいっているのかさっぱり解らなくなってしまった。(^_^;) 皆さん、文章は一気に書いてしまってくださいね。文体や話の筋がおかしくなってくるのでね。ということで、前回のつづきです。

さあて、本が自宅に届くまでの間、「新しく神さま? からもらった仕事」を全力でやり遂げなくてはいけない。

今までの成り行きからいって、ロールプレーイングゲームのように、ひとつひとつ与えられた課題をこなしていかないと次への扉が開かず立ち往生してしまうことになる。

というようなことをみどりさんに一生懸命話し、だから真剣にやらないといけないと説得した。そのおかげで、浮ついていたみどりさんもようやく携帯電話の中に占いコンテンツを製作するということはどうすればいいのかということが把握できてきたようだ……。

まず、日本の神様や文化、神社などにほとんど関心がない若い人たちに、興味を持ってもらえる楽しい企画を作るために二人で真剣に考えた。

その結果、若い人はやはり恋占いが一番興味を引かれるだろうということになった。ありきたりだとしても、やっぱり恋愛はいつの世も永遠のテーマなのだ。恋や愛をはずしては映画も小説も社会生活も成り立たない。恋を縦軸にしていろいろと遊べるように考えよう、ということになった。

ぼくたちは自分たちの得意なジャンルを生かして、まず恋愛祈願の神社紹介や商売繁盛、厄除けなどの全国の寺社仏閣の紹介をすることにした。それと開運七福神めぐりの案内も載せることにした。

お正月には、全国の初日の出を拝めるようにし、この年のメッセージと開運の極意をさずけよう。また、受験のシーズンには合格祈願ができるように、学業祈願にご利益のある神社にお参りできるようにもしたい。彼氏、彼女がいない人や喧嘩している人には、縁結び神社でお参りさせてあげよう。

その他に毎日楽しんでもらえるように、かわいいイラストをたくさん入れて、取材した神社のおみくじが引けるようにしようなどと、アイデアがどんどん湧いてきた。

携帯電話の中で手軽に「おみくじ」が引けるのは面白いとおもうのだけど、おみくじは既に他社も作って何本か入っているので、ぼくたちのおみくじはそれ以上にユニークで楽しいものにしなくては競争に勝てない。

なにしろこのサイトは、○○電話の公式有料サイトなので、お金を払って入会してもらうには、かなりのグレードがないと若い人はそっぽを向いてしまってすぐに解約されてしまう。それほどシビアな競争原理の社会なのだ。

ぼくたちは大阪の神社本庁に出向き、全国の神社で発行しているいろんなおみくじを使わせてもらえないだろうかと相談した。

そしたら、おみくじというものは本来、神社の神前で手を合わせて真剣に神様にお尋ねしてから引くのが本当なので、携帯電話の中で遊び半分に神社のおみくじを使うことはできません、と教えられた。

現在神社が使っているおみくじのほとんどは、山口県の某所でかなり高齢の霊能者のおじいさんが禊をして神さまにお伺いをしてから作っておられるらしい。

しかし昔のおみくじは、各自の神社で自由に作っていた、ということもその人に教えてもらった。ということは、携帯の中に入れるおみくじは自分たちで作ってもいいということなのだ。ぼくたちはおみくじというものを勝手に作ってはいけないとばかり思い込んでいた。

それなら二人で知恵を出しあって新しいおみくじを作ろうということになった。しかし、なんといってもおみくじには神の魂が入らなくては本物ではないと思い、その日から毎晩夜中の12時に近くの安倍晴明神社に10日間夜参りすることに決めた。

この仕事は、神さまが下さったものなので、ぼくたちなりに真心と誠意を込めて、その日から毎夜、真っ暗な安倍晴明神社の拝殿の前で「どうか良いおみくじとコンテンツができますように」と真剣に祈った。

そのかいあってか、おみくじは、昔話やいろんな神様が登場する、従来のおみくじをはるかにしのぐ楽しいものができつつあった。そしてもうひとつ、阿倍晴明神社専属の占い師さんに、きちんと占ってもらった「晴明の恋のゆくえ占い」も制作することになった。

その間偶然にも、安倍晴明ブームの火付け役で作家の「夢枕獏」さんの講演会があり、取材でお会いすることができた。

これはきっと安倍晴明が今回の仕事の応援をしてくれてはる証拠やで! 絶対上手くいくで。とまた、みどりさんはひとりで感激してはしゃいでいた。本当に幸運なことだ。

それからは毎日毎日夜参りしながらおみくじの中味づくりに熱中した。同時に取材に行く場所は日本列島を北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州の8地区に分け、神社やお寺のリストアップをして予定をたてた。(携帯コンテンツは2002年の末に終了)

そうこうしている間に、あっという間に3週間が経った。

いよいよ3000冊の本が家に届きまぁーす。この時まだ、ぼくたちは3000冊という本の量が、一体どのくらいすごいのか知らなかったのでした。次回をお楽しみに。

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