『古事記のものがたり』・本のできるまで
その5

「自分の本は自分で売ります。
 “古事記のものがたり”出版までの奮闘記」その5


出版社から返事が来た!

書店の店頭で選んできた20社の中からさらに15社に絞り込み、ぼくたちのプロフィールや『古事記のものがたり』の思いなどを原稿とセットにして郵便局から発送した。どこの出版社が一番に返事をくれるだろうかと心待ちしながら。

1週間が過ぎ、2週間が過ぎて行った。
いい原稿だったら、他社にとられないようにすぐに編集部から電話があってもよさそうなのにいまだ何の音沙汰もない。
「どうしたのかな」と思い始めていたら、その2週間後に次々と封書が届き始めた。もちろん出版社からだ。

届いた封書には、こんなことが書いてあった。


謹啓
初夏の侯、ますます御清祥のこととお慶び申し上げます。
このたび拝受いたしました御作品について、遅ればせながらご返事申し上げます。まず、折角お送りいただいたのに残念ですが、お持込の原稿を小社で刊行する機会は殆どありません。しかし、小説は『○○賞』という新人賞で、ノンフィクションは『○○賞』で募集しておりますので、そちら宛に改めて御応募いただければ幸甚です。
それ以外では、原稿の御相談や御持ち込みは御容赦頂いております。また、このたびの原稿の返却も御容赦頂きます。まことに遺憾ながら、何卒、以上ご高察下さいますようお願い申し上げます。今後の御活躍を心よりお祈り申し上げます。
○○○○○新社 編集部


拝啓
皆様ご健勝のこととお喜びいたします。
この度は、大変貴重な企画、原稿をお送りいただき誠にありがとうございました。
早速、目を通させていただき、様々な角度から検討させて頂きました。
興味ある内容とは思いますが、現在の私どもの状況では、残念ながら、ご期待にそうことはできません。
申し訳ありませんが、返送させていただきます。
私どもでは、いつでも皆様方のアイデア、企画、原稿などに目を通させていただき、いいと思うものであれば、本にして読者に提供したいと考えています。
これに懲りず、これからもいいものがありましたら、ぜひお送りください。
よろしくお願い申し上げます。
○○社○○編集部


このたびは、お原稿をお寄せいただきましてありがとうございました。
編集部で検討いたしましたが、残念ながら小社からの刊行は難しいと判断いたしました。
ご返事がおそくなりましたが、お知らせ申し上げます。
株式会社○○○房編集部


冠省
平素は○○館の雑誌・書籍をご愛読いただきありがとうございます。
大変遅くなりましたが、この度お送りいただきました原稿について、ご連絡申し上げます。お送りいただいた原稿ですが、編集部でご検討させていただきましたが、現在このような企画の本を出す予定がございません。折角のお申し出に対しまして、誠に申し訳ないと存じますが、何とぞご了承賜りますようお願い申し上げます。
なお、恐縮ですがお送りいただいた原稿も併せてお返しさせて頂きますので、ご査収ください。
末筆ながら貴殿の今後のご成功を心よりお祈り申し上げます。
早々
株式会社○○館編集総務部 部長○○○○


中にはこんな風変わりなのが届いた。


○○総合法律事務所
拝啓
時下、益々ご清祥のこととお慶び申し上げます
さて、以下の書類をご送付申し上げます。宜しくこ査収下さい。
敬具

書類送付
○○社出版(株)は破産いたしましたので、返却いたします。
破産社 ○○社出版(株)
破産管財人 ○○○○


ぼくたちは、こんなことにはくじけなかった。なるほど、大手というのは何百万部ほども売れるという可能性がないと相手にしてくれないからな、ぼくたちの『古事記のものがたり』は10万部ぐらいかもしれないから。と勝手な解釈をしていた。それならば今度は小さな出版社を攻撃しようと考えていた。

次回につづく


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