和歌と俳句

後藤夜半

かまつかを庭の面に作りけり

邯鄲の粗末なる蟲の鳴きにけり

邯鄲の人見もしらず鳴きにけり

の道大きな石に見えにけり

十五夜の長い袂や女の子

ほつほつと折れはじめたる蘆を刈る

山上憶良を鹿の顔に見き

遠鹿にさらに遠くに鹿のをり

消息のつたはりしごと一葉落つ

秋の日の鏡にさせば夕化粧

だしぬけに咲かねばならぬ曼珠沙華