和歌と俳句

後藤夜半

へろへろと走馬燈の游魚かな

おなじ絵の賣れのこりゐる走馬燈

よりそひての顔を包むなる

踊らんと顔を包めばうつくしき

あらはれて踊の人数つづくなり

曼珠沙華消えたる莖のならびけり

ふたたびは来ることもなき栗の路

津の国の減りゆく蘆を刈りにけり

沢瀉のたぐひなるべし蘆を刈る

拾ひたる落穂のしべをおとしけり

拾ひもつ落穂の垂れてありにけり

毛氈をかけし床几や露の中

たくさんの墓燈籠をともすもの

友人のくぐりいでくるの門

大いなるの道あり家の前

大いなる燈籠の手の影法師

燈籠の仔細にうつる水に置く

燈籠のかぶりし波の見えて消ゆ

消えてゐし灯のもどりくる燈籠かな

白紙を張りあましある燈籠かな

十六夜の月の面を照らすもの

暗りをおもなひ上る居待月