和歌と俳句

万葉集

巻第三

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   間人宿禰大浦初月歌二首

  間人宿禰大浦が初月の歌二首

天原振離見者白真弓張而懸有夜路者将吉

天の原振り放け見れば白真弓張りて懸けたり夜道はよけむ

椋橋乃山乎高可夜隠尓出来月乃光乏寸

倉橋の山を高みか夜隠りい出で来る月の光乏しき

   小田事勢能山歌一首 
真木葉乃之奈布勢能之努波受而吾超去者木葉知家武

   小田事の勢能山の歌一首 
真木の葉のしなふ勢能山しのはずて我が越え行けば木の葉知りけむ

   角麻呂歌四首

久方乃天之探女之石船之泊師高津者浅尓家留香裳

ひさかたの天の探女が石船の泊てし高津はあせにけるかも

塩干乃三津之海女乃久具都持玉藻将苅率行見

潮干の三津の海女のくぐつ持ち玉藻刈るらむいざ行きて見む

風乎疾奥津白波高有之海人釣船濱眷奴

風をいたみ沖つ白波高からし海人の釣船浜に帰りぬ

清江乃野木笑松原遠神我王之幸行処

住吉の野木の松原遠つ神我が大君の幸しところ