能宣
さざなみのながらの山のながらへてたのしかるべき君がみよかな
よみ人しらず
うごきなきいはくら山に君がよをはこびおきつつちよをこそつめ
能宣
ちはやふるみかみの山のさかき葉はさかえぞまさるすゑの世までに
よみ人しらす
万代の色もかはらぬさかき葉はみかみの山におふるなりけり
元輔
よろづ世をみかみの山のひびくにはやす河の水すみぞあひにける
能宣
みつきつむおほくら山はときはにて色もかはらずよろづ世ぞへむ
よみ人しらず
たかしまやみをの中山そまたててつくりかさねよちよのなみくら
元輔
ちとせふる松が埼には群れゐつつ鶴さへあそぶ心あるらし
兼盛
とどこほる時もあらじな近江なるおもののはまのあまのひつぎは
能宣
ことしよりちとせの山はこゑたえず君がみよをぞいのるべらなる
兼盛
近江なるいやたか山のさか木にて君がちよをばいのりかざさん
能宣
いのりくるみかみの山のかひしあれば千歳の影にかくてつかへん
能宣
けふよりはいはくら山に万代をうごきなくのみつまむとぞ思ふ
兼盛
年もよしこかひもえたりおほくにのさとたのもしくおもほゆるかな
兼盛
名にたてる吉田の里の杖なればつくともつきじ君がよろづ世
兼盛
鶴のすむ松が埼にはならべたる千世のためしを見するなりけり
貫之
あしひきの山のさかきはときはなるかげにさかゆる神のきねかな
人麿
おほなむちすくなみ神のつくれりし妹背の山を見るぞうれしき
藤原忠房
めづらしきけふの春日のやをとめを神もうれしとしのばざらめや