啄木函館の床屋の弟子を おもひ出でぬ 耳剃らせるがこころよかりし
啄木函館の青柳町こそかなしけれ 友の恋歌 矢ぐるまの花
啄木しらなみの寄せて騒げる 函館の大森浜に 思ひしことども
啄木函館の臥牛の山の半腹の 碑の漢詩も なかば忘れぬ
土屋文明青芽たつクローバーの原に風鋭し日入りて鎖す五稜郭のあと
函館は松に雨降る霊迎 桂郎
茄子漬や雲ゆたかにて噴火湾 楸邨
漁師の娘日焼眉目よし烏とぶ 虚子
噴火湾かすむ大潮おとをたえ 蛇笏
函館とわれから名乗り畳替中 汀女