旭川
駅鈴をしばきく日なり炉塞ぎぬ 碧梧桐
屯田の父老の家かすみけり 碧梧桐
牧水
野葡萄の もみぢの色の 深けれや 落葉松はまだ 染むとせなくに
牧水
兵営の 喇叭は聞ゆ 暁の この静かなる 旅のねざめに
牧水
遠山に 初雪は見ゆ 旭川 まちのはづれの やちより見れば
牧水
旭川の 野に霧こめて 朝早し 遠山嶺呂に 雪は輝き
牧水
こほろぎの なく音はすみぬ 野葡萄の 紅葉の霜は とけ急ぎつつ
牧水
時雨るるや 君が門なる 辛夷の木 うす紅葉して 散り急ぐなる
囀や絶えず二三羽こぼれ飛び 虚子
仔熊いま坐しぬおいらん草のかげ 立子
郭公や美田の底に鎮む魂 みどり女