2009年8月2〜9日 ことば悦覧in京都 記録集    home 

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      門藤芳樹さん編   8月03日am10時〜 快晴 

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  その04  この頁写真門藤さんチベットにて撮影=人のいる風景) 

佐藤:これちょっといい加減な数式やな〜でしたか、そういうのなかったですか
門藤:うへへへへへ、やっぱり、地震相手だから決めれっこないっていう部分が有って。そういうのは「えいや!」で決めている処が有るんですけども。

佐藤:それはやっぱり直感ですか
門藤:直感でしょうね。うん
佐藤:直感で決めざるをえず、仮説で数式が出来て、そこでまあ倒れないからいいんだ!みたいなこれでいいのだ〜みたいな
門藤:それ以上、本当はやりようないはずです。起きたことしか、経験工学は。解らない。

佐藤:人類が遭遇した事がない、事故が起きたときにまた上乗せ改良していくしかとりあえず、
門藤:そうです そうです
佐藤:コウゾ計算というのは出来ないのである、そういう結論でいいんですか。とりあえずは
門藤:そうですね
佐藤:一番最初に質問した、構造だけで自立してる、造形っていうのは在るんですか、って聴いたがそれは無いわけだよね。
門藤:ないですね

佐藤:今の処ね
門藤:そうですね。
佐藤:経験出来なくなっちゃう状況ってのが、いずれあるかもしれない。そういう時は自立する構造で成り立っている、健康な建築を自らあみださなければいけないっていう状況が来るかもしれないわけだね

門藤:来るかもしれない
佐藤:そんときは「またやってみようか」っていう意欲が湧くと
門藤うふふふふふふ
佐藤:そうなんだ、じゃー一応今まで抽出された、(経験によっって)抽象的な数式を実験で間を埋めていって

門藤:そうです、数値解析
佐藤:一つ一つ疑問をつぶしていって
門藤:はい はい はい
佐藤:なりほど、「どこまで入っても、えや〜の部分があったぞ!」みたいな
門藤:そうですね。

佐藤:そうすると構造の人達は、みんなえいや〜の部分をもつことは知っているわけですね
門藤:知っているはずですね
佐藤:じゃーピアチェックってあれはなんですか

門藤:ピアチェックは、えいやーをみんなで納得する会 ふふふふふふふ
佐藤:皆できず なめあうだけ、まいか〜みたいな
門藤:うはははは

佐藤:
手間暇かかるだけじゃないですか、構造家に任せておけばいじゃないですか。何のためにピアチェックやるのか解らないね

門藤:
だから、えいや〜というのは、ある程度やむをえないというか。地震を完全に推理するというのは無理なので。どういう被害を受けるかも、起きた事しか解らないわけなので。で、ある程度その設計者判断でこう決めて行く部分というのもありますからね。それが正しいかどうかを客観的にチェックするというのは必要だと思うんです、自分の思いこみで「これは正しいんだ」とやってたものが実験結果みるとちょっと違うデータも有りますよみたいな話は、客観的な意見として必要だとおもいます。

佐藤:地震というものはこういう現象ですって聴いたのは、今から35年ぐらい前の、僕ゼネコン設計部に居たんですけども。そこに居たときに構造の人が何処かの研修・講習会から帰ってきてさ〜「佐藤君ハワイが1年に数pずつ近づいてきて日本になっちゃうぞ!」みたいな
門藤:はいはい
佐藤:「それなんですか?!」「プレートってこうなっているんだ」って35年ぐらいまえに初めて構造屋さんがね。地球の各プレートが重なり合う部分ではねかえって地震が起きるんだって教えてもらった。その前はナマズだとかの迷信はあったけど、詳しい地震が起きるメカニズムや地盤毎のデータなど無い、まして被害のデータもオオザッパにしか無い。まだ30年とか40年の経験の上にしか成り立ってない計算方法だよね。

門藤:手放しで何もやってないわけじゃなくって色んな仮説をずーっと続けて来ていて、それでサイト波っていうその地域におけるこういう地震が発生しますよ、っていうのも段々解って来てますけども。それがいつ発生するか?とかは判らないし。完全に同じ波が来るかといえばそうでもない。

佐藤:固い地盤が縦に割れたり横に割れたり、色々破壊構造の様はありそうだからね。長さもあるだろうし。それを一つの数式に合わせて解決すうるっていうのは、考えるのは無駄そうだよね。
門藤:今はそのサイト波というか、その場所の波を使う、地震来そうな波を使うっていうのやってましたけど。何十年か前は平気で日本の建物だけど、アメリカの何とか波、何とか波を使っていて。決定してましたから。支離滅裂ですよね。起きっこない地震の設計してましたから。

佐藤:起きっこない地震で超高層の構造設計しちゃったみたいな、かたちで解決されてたわけね
門藤:はいはい。それもえいや〜の部分で何とかカバーするっていう。えやーが無かったらどうしようもない
佐藤:そういう話って枕高くして眠れない感じがするけど、大丈夫なですか構造屋さんの睡眠状態は

門藤:いやそんなことないです
佐藤:だってそういう予定外の波が襲って来たときの状況は想像しちゃうじゃないですか、いえや〜で対応できなかった波が来たときのことを
門藤うはははははは
佐藤:夜も昼もねむれなくなっちゃうじゃないですか
門藤:うはははは、いや、だから設計って、ありとあらゆる事を想定してやっていくわけだから、安心して寝ようと思うと、それだけやれば、いいんじゃないですか。

佐藤:ありとあらゆる事というのは、自分が経験して判っているありとあらゆるだっていうことは考えないわけね。
門藤:そうですね
佐藤:とりあえずありとあらゆる事をチェックした、やったんだと。これでいいのだ〜という。うふふふふ そうじゃないとありとあらゆるって、把握するの不可能だもんね
門藤:そうです。想定外のっていうのはよくある

佐藤:それで今の話は近代の建築物に対して対応出来ているけど、例えば5重の塔とか建っていますけど、。そういうのってのは1000年何百年間、京都1200年前か遷都してあったとして、その間の地震に耐えて、たまたま偶然なのかどうか判らないけど。そこで起きた地震に耐えて来たっていうことを、現代のプログラムでは解析出来ないんでしょう。
門藤:僕の先生の先生はそういう研究をしていましたけど、5重の塔を数値解析して

佐藤:それで役に立つ解析ができたの
門藤:それは何とか理論っていうのをつくって、これでなっている。
佐藤:これでいいのだって言う数式はつくったけど、みんながその数式を使って構造計算しているわけじゃないんでしょう
門藤:じゃないです

佐藤:ということは昔の建築を現代的な構造の考え方に基づいて、これでいいのだっていう方法はまだ無いっていうこと、ほどんど。
門藤:うん
佐藤:ね。
門藤:昔は経験工学だけで、それで理論って設計すること考えて作ってますから
佐藤:そうだよね、そこで今の問いかけっていうのは、ばかみたいな話だったかもしれないけど。素人考えが浮かぶよね。門藤さんが今、完成させた公式で、古い建てものに当てはめて計算したら、とても病が重い建築なのか、健康でピンピン建築なのか、どっちなんだ、みたいなふうに聴いてみたくなるじゃん
門藤;あああ。でも一回その地震を受けるだけだと建っている、たぶんもう倒れないと思いますよね。再現性があるので。同じ様な地震来て同じ様な揺れ方して倒れないってことは繰り返されるだけだから。5重の塔も一杯倒れているはずなんですけども。5重の塔は倒れないっていう本もありましたけど。

佐藤:倒れないで残っている工法でつくったので倒れないということだよね
門藤:基本的に倒れている
佐藤:倒れたら、その工法などは使わなかった
門藤:やらなかった

佐藤:俺たちは見ることはできないけれども、現実には当時ケッタイ建築が建っていたんだけど、経験工学によって多様に補強してて、お互いに口承でね、棟梁同士で情報交換して技術を伝え合ってね。30年に一回とか、ときどきしか地震来ないから
門藤:もっと長いですよね。
佐藤:伝承するって言ってもむずかしよね〜記録はどうしてたんだろう、
門藤:むずかしい

佐藤:偶然そうなったのか、経験を経て工法が編み出されたのか それも確かめよう無いわけんだね
門藤:うん
佐藤:構造的にみて古見建築が残ったベースを、故建築の知恵はどうなっているのか、だれも判ってないわけだよね
門藤:分かんないですね

佐藤:もっと現代に戻して、直下激烈な地震じゃなくって、遠くで起きた地震でユックリ揺れる、長周波が来て、そちっちのほうが問題だって言っているけどそれはそうなんですか、それは想定外なんだ

門藤:いやそれはだから
佐藤:今は想定しているんですかね
門藤:今はそれ気付いてますけれども、最初にそれが話題になったのは、たぶん90年代ぐらいだったと思いますけども。北海道の方で地震があって、油田タンクの上の蓋が凄い揺れてっていう。あれ油が張ってあるだけだから凄い長周期に反応しやすいっていうのがあって。ああそういう地震波があるのかと。それが東京にも来たらやばいじゃないって。っていう話になって。

佐藤:ゆら〜ゆらーって大きく揺れて、事務机とか事務員さんが窓を突き破って飛び出したら 建物建ってても人間にとっては危険だよね
門藤:超高層は本当に計算して安全率掛けてやってますけど、超高層が直下型大地震というか、被害に遭うような大地震に遭ったという事例 たぶん世界中に無いはずなんですよね
佐藤:ジェット機はブッカッて崩れたけどね。そういう地震にはまだ遭遇してないと
門藤:だから経験工学的にいうとまだ未知数、うん。

佐藤:そうか、まだ直下激震を体験してないんだ。
門藤:だから、今せっせと耐震補強しているやつとかもありますけどもね、ホテルとか。
佐藤:免震・制震部材入れてね。建物は残ったけど、人間は窓から飛び出て死んだとか、内部の物の下敷きになって死んでいたとか、そいうのも有るよね。
門藤:はい はい
佐藤:建物は残ったけど人はみんな死んでいたでは、安全じゃないから困るよね
門藤:困りますよね〜

佐藤:揺られ続けて、物の間に挟まって圧死しているけど、建物は残った。で安全か?それも困るよね
門藤こまりますね
佐藤:建物も耐え、その中の人間にとっても安全であるような様を目指してるわけだからね。そうか〜。話変わりますけど911で崩壊した、あれって爆弾し掛けてあったからあのように崩落したという俗説も出てるけど、色んな説があって、本当かどうかしらなけど、潰れ方が美しいというと語弊がありますけど。グヅグヅと真下に潰れたじゃないですか映像に映っていたけど。近所の古くなって壊さなければいけない建物も同時に潰れたりして、ダイナマイト仕掛けてあったとか俗説があったりしたんですけど。構造家がみてると、あのような崩落は当然だろうと思うんですか

門藤:あれもどなたかがシュミレーションやってああなるという結論になってますよ
佐藤:ああシュミレーションして なったの
門藤はいはい
佐藤:そうか、あれは直接の原因は耐火被覆が剥がれ床が達磨落とし状に落ちていったのかな
門藤:そうですね
佐藤:そこまで想定して突っ込んだのかというのは謎ですけどね

門藤:へへへへへたまたまんじゃないですか
佐藤:ね ワンツーで入ったけど、穴だけ空いて無事だったという可能性は考えていたんだろうけど、あのようにドラマ性をもったように、崩落するとは

門藤:2棟ともね
佐藤:消えてなくなるということは、映像の世紀にあたって出来すぎだった。シュミレーションするとあのような崩落のしかたはあると
門藤:はい は い はい
佐藤:それは凄い強力なウィールス菌が入り込んで病で崩れたってことだね。そいう壊れ方も、地震にかぎらず建築はあると。 これでいいのだ〜という決定方法とね、5時からでも週末にも老後を求めるっていう

門藤:まとめに入ってますね ははは
佐藤:構えかたってのは何となく繋がって来そうな感じがするよね、
門藤:ほーお
佐藤:意匠デザインの人だと、自分の概念をつくって、それを実現しようと一所懸命だけど、そうじゃない門藤さんは

門藤:違いますね
佐藤:来たものを受け取って
門藤:そうです そうです
佐藤:それで門藤さんが言われる、建っているから健康なんじゃないのみたな処で、問題を解決する構え方じゃないんだけど、問題を一緒に生きる、見届けているというか問題と一緒に暮らすみたいな。

門藤:それも貴方の力で、自力でやってください
佐藤:俺が構造計算したんだから頑張ってくれよ〜じゃない。そう言わない処がね。非常に予想外の話の展開になって、幸いですね。
門藤:あ、そうですか

佐藤:僕は1時間まえまで、こういう展開になるとは想像してなかった、何も考えて来てないんだけど。そういう構え方って構造家の共通した姿勢なんですか

門藤
いや、いろいろ居ます
佐藤:俺があみだした数式で構造の世界は制覇できると。ヘゲモニー構造屋さんも居るわけでしょう
門藤:色々居る
佐藤:野心家はいるわけね

門藤:間違いないという予測で出来ますというデータで壊れませんという人もいると思いますはい。
佐藤:野心派じゃない、状況に合わせ生きる柔軟な構え方は門藤さんの個性なんだね

門藤:そうなんですか
佐藤:おれが聴いているんです 共にふふふううふ だって俺構造関係者と話したことなんだから。ことば悦覧で会って聞き取りしたの初めてだから
門藤:あ〜あ

佐藤:それで
門藤:それは必要な能力というか、色んな建築家に対して
佐藤:自分の設計してた建物で倒れないって分かるものでも計算するから
門藤:うははあはは
佐藤:それほどアクロバティックな、作る必要もないわけだし。
門藤:そうそうそう

佐藤:作ったからって楽しいわけでもないし。鳥かごて言われているあのような腕力で作る必要ないけでしょう。
門藤:そうそう
佐藤:部材の加工だってワンピイース毎に違うだろうし、施行大変ねとか。部材だって。無駄なことやれる社会状況であると。世界に表明したい、人間の欲望の面白さはあるんだけど。
門藤:うんうん

佐藤:とてつもなく無駄じゃないですか
門藤:無駄ですね
佐藤:あれこそ一つの大重症の病の建築って感じです
門藤:重症ですね
佐藤:力こぶ方々に入れて筋肉バラバラになりそうだけど、お前大丈夫かって、鳥の目ふうの写真の写りはいいけど、俺の家の隣に建てられるといやなだ〜って病重そうだから感染するのやだな〜って思うよね
門藤:うふふふうふふ

佐藤:れより1本、欅の木や、野鳥が飛んでくるシラカシの木や楢の木でも 在った方がいいと思う、そういう感覚ってあるよね
門藤:そうですね

佐藤
:政治や現代の状況が求めた、門藤語りで言えばある種病の重い建築であると、そいう目でもって、世界の観察の仕方はとても面白いですね

門藤:うはははははは
佐藤:こういう構造の建物が建っているってことは、この町はこういう病の状況、病に陥っているな〜とかメモしならがら旅すると
門藤:うははあははははは

佐藤:1時間 たったな、ので ここで休憩する し切るね
門藤:はい 

  門藤さんに聞く 一部はこれで終わります 読んでいただきありがとう。
    文責 佐藤敏宏 

第二部50分ほどへ( 意匠デザイナーはこう見えるだとか写真や音楽の具体的な話などです、お待ちださいませ)

2009年10月01日  続き第二部公開しました   二部記録へ