2009年8月2〜9日 ことば悦覧in京都 記録集    home 

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 岩崎泰さん編   8月04日 am10〜 晴れ 鴨川河原にて 

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 その05  

岩崎:この建具は、この障子は古建具を。建具屋さんがあるので、お茶室の建具ってほとんど出ないんですよ。たまたまそんとき
佐藤:ああそうか、古い材料だとか建具だとか、色々な古手屋さんというか、古物屋さんが在るんですか。

岩崎古建具屋さんが在ります。一軒だけだと思うですけど。相当な量あるんで。
佐藤:古い建具がね。どこかで解体するときに古建具やさんが出向いてって、古物商のように解体現場で待機したり捜したりしている

岩崎:古物商のようなんですけど、その方が。だから新築の住宅でも使います
佐藤:それは京都ならですね
岩崎そうですね
佐藤:聞いたこと初めてだもん。そんな古建具が商売として成り立っているのか〜
岩崎:凄いですよ本当に。町家一軒借り切って 中全部障子だったり

佐藤:昨日門藤さんと昼飯 喰っていたら。壁にそういう古い建具が貼ってあったので、これは今作ってないって。そうい物を売っているですよと教えられたんだけど。こんなもの数も少ないし商売あるのかな〜と思ったけど。本当に古建具屋さん在るんだ
岩崎:はい  バリバリバリバリバリ
佐藤:また休みましょう
岩崎:はい
佐藤:凄い音〜バリバリバリバリバリ 15秒 20秒 額はこの上に掛けてあると

岩崎:そうですね
佐藤:これは外したところかな
岩崎:そうです。障子を外して ミンミンみんみんじーじじー
佐藤:これはモノクロだ、単にモノクロにしただけかな

岩崎:カメラマンの方が面白いからって
佐藤:これはデジカメで撮っているんですか
岩崎:デジカメでしたねこのとき
佐藤:ああそうですか。デジカメもここまで綺麗に撮せるんだ
岩崎:そうですね

佐藤平面図見せてもらうと
岩崎:ここが床の間ですね。
佐藤:この掛け軸は 同じところに別のものを
岩崎:あの〜御茶事茶会をするときに、最初は軸なんです。で会席いただいて。お菓子食べたら、一回出るんですよ。この方は御茶のお稽古したいとかじゃなくって。人を招いて御茶事をする。
佐藤:凄いね〜風流な人だな〜

岩崎:そうですね〜
佐藤:俺たちが行くっていったら。そう御茶事されちゃうじゃないですか
岩崎:あはははははは
佐藤:ご飯朝から作ってさ〜 まねかれちゃうから。それは見学行かないでよかったははははっは
岩崎:でも本当に気さくな人で
佐藤:こんど5年後行きましょう

岩崎:はい。
佐藤:でも簡単にいきますとか言えないな〜色々ご飯とか出てきちゃうわけでしょう
岩崎:いやいやそれはその時にちゃんと御茶事のときは御茶事で。前もって連絡あるので。
佐藤:御茶事参加費用って とるんでしょう、ただでやってくれとは言えないな、私そういう御茶事体験したいですって言ったら。そうしないとね
岩崎:体験したいとなると それだって会席料理が出る
佐藤:それは凄いよね

岩崎:はいはい
佐藤:岩崎さんは御茶はやっていらっしゃるんですか。無理矢理始めちゃった
岩崎:前のにむらさんの事務所に入って3年目から始めました
佐藤:やっぱり これだと
岩崎:やらなと、これは出来ないので
佐藤:作法を解らないとね、表ですか裏千家ですか

岩崎裏千家です。でも御茶勉強するのは本当に建築に応用出来ること一杯ある。やっぱり利休の存在凄く大きいと思う。利休が凄いっていうのは、寸法に滅茶苦茶細かいんですね。物の形決めたりとか、物の素材決めたりとか、形を決めたり、大きさを決めたりっていうのはかなりの部分 利休が決めた。その後やっぱり永い歴史の中で変わって来たものがあったり。もっと洗練されたものもあると思うけど。その障子の が一分だと太いとか。
   バリバリバリバリバリ 
薄いだとか。そいう要望を職人に出していた。漆の塗り方もざっくり塗ってくれとか。

佐藤:職人としても、そうとう優れ者、職人より技術を知っているんでしょう
岩崎:そうですね
佐藤:自分は出来ないけど
岩崎:出来ないけど文句は付けられる。けっきょく設計者と同じないですかそれって。自分はしないけれどもそれを文句っちゃんと極めて。

庭石の高さもこの石だけちょっと高いから後で下げてくれとか。事細かに五月蠅い。で職人が変えておくと、またチャント指示してくる。
佐藤:完成形がキチンみえてあるからね、ズレが判るので シツコク言う
岩崎:しつこく言うと。ちゃんと見極めて

佐藤:そのデティールというか非常に細かい寸法にこだわるっていう、そこが凄いっていうのは。記録があったり自分でやってみて、利休崩しみたいな、自分で一つやって納得してみようと。崩してみたらどうもダセーぜみたいな。そういう体験はなさっているんですか。
岩崎:でもやっぱりそれで鴨居をいくつにするとか。この落とし掛けの寸法を。大工さんと こういうのも、図面でこれですけどいいですかっていうようなことも言う。段階でやるわけです。やっぱりこの柱太いからこっちもちょっと見付けあった方が好いんじゃないですかとか。いうことも一応

佐藤:この茶室は2畳ですよね
岩崎:2畳です ここの客が座って バリバリバリバリバリ
佐藤:刈った草が飛んで来ます
岩崎:うははははははは  バリバリバリバリバリ
佐藤:凄い騒音です

岩崎:だからなるべく古い建物見に行ったりしたら全部採寸をして。それが太いのか細いのか、感想を同時に書くと
佐藤:話があちらこちら行っちゃいけど。最初に掛け軸掛かっていて、会席食べ終わると

岩崎:休憩して 今度はもう一度入って来ると 花が飾ってある、その時はまだ簾か掛かっていて、いよいよお手前始まるというときにしゃくを聞いた音で、外で 手伝いの人がはなれを上げるわけです。そうするとぱっと明るくなって花が

佐藤演劇的ですね
岩崎:そうなですよ
佐藤:真っ暗でこの床の花はみえてないんだ
岩崎:ちょっと最初は薄暗いですよ
佐藤:そうか、この床に最初は掛け軸が掛けてあったんだけど、記憶があるんだけど、室内が明るくなった途端、違う宇宙に、行っているわけだ。ぽっと違う世界に入ると。なかなか演劇空間ですね

岩崎:演劇ですね、そういう明かりの演出も凄い
佐藤:電気無かったしね。ふふふふうふふふ
岩崎:そうです。本当に照明なかったんです。床の間だけ付けたんですけど、暗いですねやっぱり。でもしょうがいないですけどね
佐藤:原形は電気照明ないだから。そんなもんでしょう

岩崎:そうですえね
佐藤:そうすると、電気照明が無いことによて、ライトコントロールはお手伝いの人が開けたり閉じたり
岩崎:そうですね、今簾が掛かっている状態ですけど

佐藤:かなり広角で撮っているんだね
岩崎:二帖しかないですからね。
佐藤:よくこれだけ入るな〜
岩崎:高さも1910
佐藤:そんなに低いの!!

岩崎:2mないですよ
佐藤:凄い低いですね〜
岩崎:はい  でも基本的に座っているので、居心地はいいと思います
佐藤:座るとこの高さかな目線は 何か緊張しそうですね

岩崎:でもここのご主人はお茶されてない方でしたけど、妙に落ち着くな〜って言ってましたね。ここで昼寝するのが うはははははははは
佐藤:ここでね なんて贅沢な昼寝なんだ 

 バリバリバリバリバリ なるほど

岩崎:図面で一応こうい展開図を
佐藤:詳細図は書かないんですか
岩崎:書きます、御施主さんにはパース書いて
佐藤:CGじゃないの
岩崎:CGじゃない、下はキャドなですけど、手で清書した方が、感じが出るので。ほぼ今見ていただいた写真と同じだとそれでちょっと壁にしようかとか。それで御施主さんに納得してもらったら。今度は大工さん用に原寸を

佐藤:原寸。細かいですな〜。凄い細かいんですが写るんでしょうか。たぶん写らないですね。とりあえず原寸を撮る
岩崎:絶対これじゃなきゃいけないっていうよりも、ちょっと大工さん でこれで相談をするような感じですね。こんなふうにしたいけど。

佐藤:
大工さんは苦労せず見付かりますか
岩崎:たまたまですね、前の事務所のときにお願いしてた大工さんこれお願いしたんですけど、もう60才前ぐらいかな〜。ちょと何か予算もあまりないので。嫌がっていたんです。で左官屋さんは事務所の時から同い年の友達が居て。だれか居ないかって紹介してもらって、2つ上かな。38才 

 バリバリバリバリバリ

佐藤:草刈り機来たから 座ってください写真撮りますから

バリバリバリバリバリグワーグワー なかなかライブ感タップルで好いですね
岩崎:あははははは
佐藤:これは凄い演出だわ 今日に限ってここ刈らないで 鴨川河川敷広いんだから もっと遠い場所刈ってくれてもいいけどサービス満点で目の前を刈るっていうのが味わい深いですね〜

 バリバリバリバリバリグーワーグワー

岩崎:
ちょっとここまでは、セミの音も気にならないですね〜

佐藤:セミも草刈り機の音に呆れて鳴かないですね。こんな五月蠅い処で鳴いてもメスは寄ってこない ははははは
岩崎:はははははは
佐藤:お、静かになるかな お昼かな
岩崎:一端 休憩ですかね

佐藤:すごいね 休憩かな 暑いのに御苦労さん。 それで大工さん見付かって。下世話な話ですが、こういう建築ってどういう値決めするんですか。皆さん知っているですか。発注者はだいたいこのぐらい掛かるだろうという値頃感は。予算は。
岩崎:う〜ん・発注者っていうのは御施主さん。いや!!。だから最初のメールではこんだけしか予算無いですけど、どうですか?って。やる工事の内容によって値段変わってきますので。使う材料でも畳み一枚でも五万からってのもありますし、一枚二万でもありますし。その辺がいわゆる何て言うんですかね。裏千家のご用達の工務店とかだったらもうこんなん五万からの畳みじゃないと茶室じゃないとか言う人もいるかもしれないですけど。 でもちゃんと縁の色守って片方まるべりにするとか。いう細かい指示を設計者が出来れば二万円の畳みでも好いし。いうことが調整は出来るので。予算聞いて、で要望聞いて、それに予算内で満足してもらうするにはどうしたらいいかを考える。あと職人さんと相談して。

佐藤:なるほどね。

岩崎:それは普通の住宅でも同じですよ。
佐藤:打ち合わせる項目っていうのが、凄く細かいじゃないですか。現代のコンクリート打ち放し、細かさ違う。オオザッパじゃないですかだから 言うんだけども。

お茶室は凄い細かいけれども。音楽を演奏したりコンサートマスターをしたりしてて、100人一緒に仕事をやっている人じゃないと出来ないかな〜という印象も受けたりするけどね〜

岩崎:そうですか
佐藤:凄い大変だよね。そんなのどうでもいいような話をみなさん延々とし続けて、畳みの縁がこうだとかああだとか。畳表はこうだとか、襖の紙はこうだとか、延々茶室語りは尽きない、話合えるわけじゃないですか
岩崎:そうですね

佐藤:紙一枚について一日喋っても終わらない
岩崎:うははははは
佐藤:それや商売にならん、そう言っていてはこの職業は成り立たないですよね〜
岩崎:はい

佐藤:最初に電話掛かってきて、これこれと全体の予算配分とかわかっちゃうわけじゃないですか。ある程度。こうなると手間はこのぐらい掛かって、えらいことに成るなと思ったりするわけじゃないですか。ふふふふふふふ
岩崎:だから職人さんによっては受けてくれない方も居るんですね。だから若い人でまあ気持ちを、同じ気持ちで居てくれるような人が、少々ちょっと儲けにならないかもしれないけど〜っていうのでやってくれる

佐藤:この茶室は儲けにならないけどやろうという、偶然ね、そういう人に出会ったり。あとは破断したり、色々されてるんでしょうけど。この茶室は何作めんですか。
岩崎:これは独立して建った茶室で最初です
佐藤:何時独立されたんでしたっけ
岩崎:一年半前、去年一昨年の11月です。

佐藤:独立する切っ掛け、それはどうしてですか。独立するぞ〜と 
岩崎:前の事務所が、すごくにむらさんには感謝しているんです。色んな経験さしてもらって、あれなんですけど。仕事が無かったんですね、あまり。大きな仕事狙いにいっていつも外れているみたいな感じだったので。だからもう独立する三年前ぐらいから自分でブログを始めて住宅の仕事とかは何軒か。個人的に受けてって言うと語弊がありますけど。

佐藤:事務所内 独立建築家になっていたわけだ。
岩崎:ちょとそれに近いかたちになって。付き合いのあった工務店の人から声掛けていただいて住宅何軒かやったりとか。一応担当というかたちでやりますけど。ほぼノウタッチみたいな。
佐藤:若い人が独立して一人前になるためには 必ずそういうような状況は経なければ今の日本ではいけないよね
岩崎:そうですね

 佐藤:たまに、大学出てどこにも修業せず いきなり独立系建築家にというのはあるけれど、大方は中間のグレーゾーンがね
岩崎:グレーゾーンがありますね。そうですね。はい
佐藤:先生の事務所に帰属しながら、独立系事務所が芽生える,寄生しているかのような状態はね。そういうのはありますよね
岩崎:であと、独立ときの仕事を用意してくれる御施主さんというか僕のときはたまたま埼玉の工務店の人だったですけど。独立するんだったら、仕事要るだろうからと言って。

佐藤:仕事も持ってきてくれてサー独立しろとか、先輩事務所だったらね、いいだんけどね。昔はそう師弟関係もあったとは聞いたけど
岩崎:ああそうですか
佐藤:ぼくはそうされてないので、人の話だから事実はどうかは判らないけど。今のような不況下り坂社会に入るとなかなかむずかしいですよね。
岩崎:そうですよね
佐藤:設計事務所そのものもなかなかキツイんじゃないかと、そいう状況の中で茶室を専門にし独立というのも。勇気が要るような

岩崎:う〜でもネットがあったからネットがやっぱり大きいです
佐藤:ネットですか
岩崎:これが無かったら、独立する、分かんないですけど。
佐藤:非常に特殊な仕事でもあるけれども、全国各地世界津々浦々、フランスで俺は茶室作りたいと言う人も居るからも知れないよね。どういう人間関係が発生するのかネット上ではあるだろうことは想像が付かない判らないですよね。これからドンドン。今日あたりだってコスプレして名古屋に集まってコスプレサミットやっている時代だから

岩崎:うははあははは
佐藤:やっぱり茶室は、日本の茶室はいいぜ〜みたいな人、津々浦々にいるかもしれないし。
岩崎:あと茶室だけじゃなくって、前の事務所の時も民家の移築もやりましたし。今やっているのは

佐藤:古民家再生ですね。
岩崎:あと町家、新しく新築する住宅、町家ふうにしてくださいっていう。専門ではないですけど。やっぱり応用が利くというとあれですけど。
佐藤:独立した切っ掛けは、先生の事務所の仕事が無くなって来たということと、大物喰いに対して、ちょっと、という疑問も感じて
岩崎:そうですね。
佐藤:ネットの出現、その二つぐらいですか。

岩崎:まあそうです、自分でやりたかった
佐藤:そいう岩崎さんの状況の背中を押したのはネットの存在であると、とても現代的なツールがあって
岩崎:それがあったから、まあ、何かしらちょっとは仕事があるんじゃないかな〜という、甘い。

佐藤:甘い感覚で一作できたからいい
    おめでとうございまいした!
岩崎;そうですね、他にも・こないだもう一軒改修ですけど、しましたし。
佐藤:改築って新築よりすごーいむずかしいですからね
岩崎:そうですね

佐藤:とりあえず利休と秀吉の現れかたを、どうアクチャルな問題とし解釈批評し直すのか 課題としてあっても 第一作出来ましておめでとうございました 第一部インタビューは終わりということで、どうもありがとうございましtが

岩崎:はい 

佐藤:引き続きお茶を飲んで第二部 ワイワイにいきましょう 1:03:26

 ミンミンみんみんじーじじーミンミン


 第二部36分へ続くのでありました アクチャルな茶室とは何とう名か?、茶室という名を使うな!など 草刈り機にまけない大音量で鴨川の河川敷で話し合うのでありました 

  読んでいただきありがとうございました
       文字起こし 文責 :佐藤敏宏

   2009年10月 03日 続編公開しました