和歌と俳句

野村喜舟

春風や紙を貼られし籠の底

春風や汐木が中の観世音

初午や霰小紋のなつかしく

初午閂はづず乾門

うろくづの哀れのほかの目刺かな

藁しべの燃えてしまひし目刺かな

憤る流人が業の目刺かな

や国道往来仰ぐもの

下市に上市つゞくかな

大慈悲や柳が下の迷子石

大仏の開眼かすむ柳かな