春風や紙を貼られし籠の底
春風や汐木が中の観世音
初午や霰小紋のなつかしく
初午閂はづず乾門
うろくづの哀れのほかの目刺かな
藁しべの燃えてしまひし目刺かな
憤る流人が業の目刺かな
崖藤や国道往来仰ぐもの
下市に上市つゞく柳かな
大慈悲や柳が下の迷子石
大仏の開眼かすむ柳かな