和歌と俳句

高浜虚子

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明治37年

夏に籠る師に薪水の労をとる

市中の寺にかくるる一夏かな

或時は谷深く折る夏花かな

雨雲の離れぬ比枝や田植時

うち竝ぶ早乙女笠や湖を前

三軒家蚊帳つる時のほととぎす

山を出でて山に入る月や蚊帳の外

薫風や瀧の腹見る寺の縁

御車に牛かくる空やほととぎす

草山やこの面かの面の百合の花

古家にもの新らしき団扇かな

山寺にうき世の団扇見ゆるかな

先づ食うて先づ去る僧や心太

長橋を降りかくす雨や心太

大海のうしほはあれど旱かな

無用の書紙魚食ひあきて死ぬるらん

茄子汁主人好めば今日も今日も