和歌と俳句

追従を許さじと扇使ひけり 橙黄子

白扇や文にあそびて人喬し 麦南

白扇や漆の如き夏羽織 虚子

我を指す人の扇をにくみけり 虚子

薔薇を見るわれの手にある黒扇 石鼎

夏帯にはさみ没せし扇子かな 虚子

しろがねを畳み秘めたる扇かな 草城

白扇や乾き乾かぬ墨の痕 草城

朝戸出の腰にしづけき扇かな 水巴

白扇や若きお僧の落ちつかず 淡路女

扇取る法被の袖をかかげつつ 虚子

繪扇にかくしおほせし面輪かな 虚子

糸も吐かず蜘蛛の子乗りし扇かな かな女

帯の上の乳にこだはりて扇さす 蛇笏

白扇や筑紫の海の夕凪に 喜舟

ひらくより白檀かをる扇かな 淡路女

白扇の上昇するや昇降機 汀女

白扇を止むる間なしに頬こそげ 汀女

初扇安鉱泉にあそびけり 花蓑

隣席の扇使ひは絶えてつづく 汀女

みづからも開く扇子の美しく 汀女

面垂れて忿怒の扇え開かず 友二

銀扇をあぎとにあてて思ひごと 立子

母がおくる紅き扇のうれしき風 草田男

持ち古りし扇の風をいとほしみ 立子

のでるまでつかひあふ扇かな 万太郎

初扇ひらいて旅のとある橋 爽雨

扇もて朝の戸を打ち旅もどり 爽雨

ゆるやかに僧のつかへる黒扇子 林火

佐理の字を写さむとおもふ扇子かな 青畝

わが使ふ扇の影が乱すもの 汀女

秘めごとの如く使へる扇かな 汀女