夕立の虹見下ろして欄に倚る 虚子
大夕立来るらし由布のかきくもり 虚子
夕立や簾の月は見えながら 花蓑
咲きのこる薔薇の花壇に夕立かな 石鼎
夕立や森を出て来る馬車一つ 虚子
大江をつたひ下るや夕立雲 虚子
夕立や救難船もまつしぐら 虚子
夕立によごれぬ草のなかりけり 烏頭子
縁台を濡らして過ぎし夕立かな 青邨
夕立や簾つらねて灯の館 石鼎
夕立や見えかくれする波間の灯 石鼎
夕立や膝組みゐたる簾内 石鼎
夕立やうき濡髪をかきあげて 喜舟
夕立や牧の仔馬の濡れまさり 喜舟
再びの夕立にあふ山路かな みどり女
走り帆をつゝみかくして夕立来る 野風呂
夕立もやみたる頃の迎へ傘 淡路女
湖に雨音たつる夕立かな 石鼎
夕立や雨もつれ降るバルコニー 石鼎
吊橋を負はれ渡りぬ小夕立 石鼎
夕立来る雨あと湖に満るかな 石鼎
日覆はづす夕立に湖をあふつ風 石鼎
夕立や湖辺りの船皆ゆれて 石鼎
湖の藻の浮き流れゐる夕立かな 石鼎
祖母山も傾山も夕立かな 青邨
わが馬の駆けれど夕立来りけり 青邨
夕立来着せかけ呉れし杣の蓑 青邨
はひまとふ葛にはげしき夕立かな 青邨
葛の葉を敷いてたのしや夕立小屋 青邨
夕立や船影白くかき消つつ 汀女
樺の中くしくも明き夕立かな 不器男
蓬生に土けぶり立つ夕立かな 不器男