橋の根の菱を蹴あそぶ浮巣鳥
枯蘆と青蘆を洲や浮巣鳥
提灯のかげの小ぐらさ鵜船待つ
鵜の篝暗の巌を照らし来る
鵜篝の火心まぶしく見えたりけり
鵜篝の烈火に躍る鵜匠かな
鵜篝の鵜匠は闇の王者かな
青芒橋のたもとに見てすぎぬ
蘆つかんで夕日の中の行々子
行々子桑の月夜の夢を啼く
薫風や畳の上の竹の埒
薫風や宝壺の蓋の古金襴
このさきにもはや道なし昼河鹿
瀬の音とはなれて高し夕河鹿
山門や夕時鳥しのび音に
朝刈りの草をこぼれぬ月見草
月見草しぼみながらも黄なるかな
月見草小さくしぼみし赤さかな
夕日みてけふも人立つ月見草
雲の峰風に吹かれてなびくかな
灯り出しネオンサインや雲の峰
浮きつれて湖藻ぞつづれ夕立晴
湖に雨音たつる夕立かな
湖に潮してゐる夕立かな
夕立や雨もつれ降るバルコニー