和歌と俳句

原 石鼎

40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50

白熊の皮ぞ敷妙へ白団扇

あほぎあうて笑へる子等の団扇かな

どこやらに団扇の音や宵寝町

大旅館終に日除をかけにけり

キユーに汗盤上玉の乱れかな

胸の汗落つる響きを感じけり

すこやかに汗をたのしむ心あり

絽羽織の畳み置かれしビールかな

ビールあほる袴つけたる男どち

滝に浮くビールのマーク何々ぞ

今日の衣襞にかかれるビールかな

クリーニングのアイロン見ゆる日覆かな

帰省子や夜の東京を心にて

帰省子の行李おろせし駅夫かな

吹かれあふつ蓮の葉裏や水に影

生れ児をもろ手にうけて天瓜粉