初夏や渡御の神輿のさんらんと
海へ渡御の余花小神輿金づくり
余花の町に花笠人の酔ひ倒れ
麓より余花をたづねて入りにけり
門の余花とかかはりもなきお庭かな
初夏の浦の乙女ぞめじさげて
戸外れて牡丹あふちし旦かな
瓣とぢて大きく見ゆる牡丹かな
蝶よりも蜂の酔ひゐる牡丹かな
一八の屋根の藁家の灯りけり
田も畦も道も山辺もげんげかな
汽車の人つぎつぎ降りて山若葉
ほんものと見えし案山子が苗代に
山木若葉岩を包みて数十種
純白と白黄といづれ大牡丹
燕地に折々下りる牡丹かな
萱屋根に鶺鴒とまる五月かな
郭公の枝踏みかふる尾の見えし
巣燕に炭火もえゐる大炉かな
月に日に牡丹闌けたる花粉かな
美しきたらの嫩葉を摘みにけり
石獅子の闇より牡丹供養の火
煙なき牡丹供養の焔かな
供養する牡丹の焔仰ぎけり