和歌と俳句

青薄 青芒

物の怪のつく時眠し青芒 かな女

青芒先のみ見えて縁はるか 石鼎

汀より草の土手まで青芒 石鼎

青芒ぞんぶんぬれて帰りし子 かな女

青芒苦熱ゆるみて活けにけり 槐太

青芒目には見えねど神の影 石鼎

青芒朝の日あたる二三枚 青邨

青芒橋のたもとに見てすぎぬ 石鼎

霜のごと朝露微塵や青薄 石鼎

青芒掴んで起ちし負籠かな 石鼎

武蔵野を舗道はしれり青芒 茅舎

朝粥にかまぼこうまし青芒 石鼎

刈りし跡急なる岨や青すすき 石鼎

ひともしし自転車なんど青芒 石鼎

健かに人等はありぬ青芒 石鼎

庭隅へホース向けけり青芒 石鼎

水底に見ゆ踏石や青芒 茅舎

一条の激しき水や青薄 たかし

夕虹に蜘蛛のまげたる青すすき 蛇笏

潮さゝぬ川となりけり青芒 占魚

如何な日もひとりはさびし青芒 汀女

青芒ここに歩みを返しつつ 久女

青芒人立つ墓のありにけり 素十

壇風城目探る風の青芒 欣一

午後三時青芒風逃がしゐる 綾子

青芒白日煙草さへ忘れ 林火