ゆふだちや大水馬ずつとひき
河骨の水の紺碧翡翠まろぶ
握る子鮎の口唇につけ子供かな
游ぎゐる鮎とは滑擦ることか
はねあがる鮎覆ひ蚊帳に入りにけり
朝粥にかまぼこうまし青芒
刈りし跡急なる岨や青すすき
ひともしし自転車なんど青芒
健に居りてめでたし青すすき
健かに人等はありぬ青芒
庭隅へホース向けけり青芒
とびたるは赤しやうびんや谷はざま
宵はやみ大雨につる蚊帳青し
白栄やあないの風呂にまだたたず
あらばえにつぐ白栄や梅雨のはて
白ばえや枝垂柳のふさふさと
白栄やカステーラなどくひこぼし
老鶯はー角よりや峰の腹
草わけの鹿の子等こちを見て居りぬ
顔かしげふとものを見し蜥蜴かな
蜥蜴の尾きれて躍れる巌の上
日に光ろてとがる真紅の蓬藁かな
白々といまだ稚き蓬藁かな
雨に出でて二三顆摘みし蓬藁かな
大蟻のじつと咬みたる蓬藁かな