晶子
夕立の雨ぞ降りこし上つ毛の野に飼ふ馬の走りかふごと
晶子
夏痩の手の指などを見てかこつ時夕立の降りいでしかな
晶子
海の上つりがね草の袋よりやや赤ばみて夕立ぞ降る
夕立や浮草を走る水の玉 石鼎
夕立や池に竜住む水柱 鬼城
一夕立過ぎたる街のながしかな 風生
夕立や大銀杏ある城下口 龍之介
電線に映る灯のある夕立かな 石鼎
夕立や土間にとりこむ大万燈 龍之介
夕立や音羽九丁を一筋に 喜舟
芭蕉巻葉のぎゆうぎゆうと鳴る夕立哉 泊雲
寄り添へどとても濡れるよ夕立傘 みどり女
夕立の空見つ猿奴またたきつ 石鼎
夕立の今はとどろく森の中 石鼎
わだつみの夕栄遠き夕立かな 草城
夕立の到りさざめく塀の内 草城
軒の灯のはなやぎ灯る夕立霽 草城
本願寺の屋根を襲へる夕立かな 草城
木の影の生れて夕立名残かな 草城
枝ごとのしぶきに日さす夕立かな 石鼎
月ありて幾夕立の深空かな 虚子
夕立のかがやき映る調度かな 石鼎
西の空僅かに見えて夕立かな 石鼎
菱刈りの面を叩く夕立かな 普羅
竹の葉のしきりに落つる夕立かな 播水
夕立の池に足洗ふ男かな 虚子
午まへの烈日にしる夕立かな 石鼎