橙と二穂の稲を蓬莱に
樵りぐちのくろずむ枝も初日影
元旦の枯枝へまづ四十雀
奥山や枯木の穂にも初日影
初日門枯れ太幹とならびたる
花がつを舞ふ数の子のうまかつし
奥山やめでたきものに飾炭
白糸にむすびてさびし飾炭
大蛤の吸ひ物あつし松の内
数の子の割れめににじむ醤油かな
とぶさ松そのまうへなる軒の空
天心にかがやく日ありこぞことし
土すこし凍てあるも見え去年今年
雪一日日和一日も松の内
橙の膚と皺孔を飾りたて
橙のただひと色を飾りけり
飾昆布その上に羽子のせてある
金の雲ちらし入る日もお正月
うたてしや火の一つ無く明の春
あらたまのたまの碧瑠璃初日して
新春の碧瑠璃これぞと見入りけり
らんらんとのぼる初日や霜の上
初富士の真白の雪に襞も見え
一さきに雀のめざめ寝正月