和歌と俳句

祭り

街道のしばらく海に祭かな 万太郎

とり出して祭提灯埃吹く 虚子

真円き月と思へば夏祭 汀女

昼の月あはれいろなき祭かな 

夕ごころまだ定まらず夏祭 源義

読まず書かぬ月日俄に夏祭 節子

ふく風やまつりのしめのはや張られ 万太郎

梅雨はやき波よけさまのまつりかな 万太郎

祭ことし揃ひの染めも上々に 万太郎

そらまめのおはぐろつけし祭かな 万太郎

磴のぼるほどに汐の香夏まつり 爽雨

げに今日や祭ばんてん祭足袋 万太郎

どぜうやの大きな猪口や夏祭 万太郎

女房おかめ亭主ひよつとこ夏まつり 万太郎

神崎の夜は真闇なる夏祭 悌二郎

杣道を檜はかくす夏祭 静塔

山水をかけし漆の祭笛 静塔

足袋脱ぎて鮎とつきあふ祭かな 静塔

戸障子を外す祭の在所にて 静塔

真裸に祭半纏直かに被て 誓子

祭太鼓打ち込む撥と若き身と 誓子

山車統べて鎧皇后立ち給ふ 誓子

立つ吾の肉を震はす祭太鼓 誓子

夏祭献燈峠にて終る 静塔

皿洗ふ手に流速の祭川 静塔