和歌と俳句

帰る山

福井県南条郡今庄町帰にある山。

古今集・離別歌 きのとしさだ
かへる山ありとはきけど 春霞 たちわかれなば恋しかるべし

古今集・離別歌 躬恒
かへる山なにぞありてあるかひは来てもとまらぬ名にこそありけれ

古今集・雑歌 ありはらのむねやな
白雪のやへふりしけるかへる山 かへるがへるも老にけるかな

千載集・冬 頼政
越えかねて いまぞ越路を 帰る山 雪降る時の 名にこそありけれ

定家
いかばかり深き中とてかへる山かさなる雪をとへと待つらむ

続後撰集・恋 左近大将朝光
あかずして 帰るみ山の 白雪は 道もなきまで うづもれにけり

返し よみ人しらず
ともすれは 跡たえぬべき 帰る山 越路の雪は さぞ積るらむ