和歌と俳句

位山

親隆
うらやまし くらゐの山の 峰を出でて 高くものぼる 夜半のかな

頼政
くらゐ山 のぼるにかねて しるかりき 雲の上まで ゆかむものとは

頼政
翁さび はふはふのぼる くらゐ山 雲ふむほどに いかでなるらむ

頼政
くらゐ山 高くなりぬと 見しほどに やがてくもゐに のぼるうれしさ

頼政
のぼりにし くらゐの山も 雲の上も 年の高さに あらずとぞ思ふ

清輔
くらゐ山 谷のうぐひす 人知れず ねのみ流るる 春を待つかな

清輔
やへやへの 人だにのぼる くらゐ山 老いぬる身には 苦しかりけり

清輔
けふこそは くらゐの山の 峰までに 腰二重にて のぼりつきぬれ

清輔
くらゐ山 老いの坂ゆく しるしには なほ峰までも のぼらざらめや

寂蓮
ふるきあとは さらにも訪はず くらゐ山 むかしに越えむ をりを待つ間に

寂蓮
老いがよに かまへてのぼる くらゐ山 むかしのあとに いかが越ゆべき

雅経
あはれわが なづまで過ぐる 道もがな くらゐのやまの いはのかけみち