和歌と俳句

源氏物語の中の短歌

帚木

手を折りて相見しことを数ふればこれ一つやは君がうきふし

うき節を心一つに数へきてこや君が手を別るべきをり

つれなさを恨みもはてぬしののめにとりあへぬまで驚かすらん

身の憂さを嘆くにあかで明くる夜はとり重ねても音ぞ泣かれける

見し夢を逢ふ夜ありやと嘆く間に目さへあはでぞ頃も経にける

帚木のこころを知らでその原の道にあやなくまどひぬるかな

数ならぬ伏屋におふる身のうさにあるにもあらず消ゆる帚木