手を折りて相見しことを数ふればこれ一つやは君がうきふし
うき節を心一つに数へきてこや君が手を別るべきをり
つれなさを恨みもはてぬしののめにとりあへぬまで驚かすらん
身の憂さを嘆くにあかで明くる夜はとり重ねても音ぞ泣かれける
見し夢を逢ふ夜ありやと嘆く間に目さへあはでぞ頃も経にける
帚木のこころを知らでその原の道にあやなくまどひぬるかな
数ならぬ伏屋におふる身のうさにあるにもあらず消ゆる帚木