雪深きをしほの山に立つ雉子の古き跡をも今日はたづねよ
小塩山みゆき積もれる松原に今日ばかりなる跡やなからん
うちきらし朝曇りせしみゆきにはさやかに空の光やは見し
あかねさす光は空に曇らぬをなどてみゆきに目をきらしけん
ふたかたに言ひもてゆけば玉櫛笥わがみはなれぬかけごなりけり
わが身こそうらみられけれ唐ごろも君が袂に馴れずと思へば
からごろもまた唐衣からごろも返す返すも唐衣
うらめしや沖つ玉藻をかづくまで磯隠れける海人の心よ
寄辺なみかかる渚にうち寄せて海人も尋ねぬ藻屑とぞ見し