和歌と俳句

源氏物語の中の短歌

桐壺

限りとて別るる道の悲しきにいかまほしきは命なりけり

宮城野の露吹き結ぶ風の音に小萩が上を思ひこそすれ

鈴虫の声の限りを尽くしても長き夜飽かず降る涙かな

いとどしく虫の音しげき浅茅生に露置き添ふる雲の上人

荒き風防ぎし蔭の枯れしより小萩が上ぞしづ心無き

尋ね行くまぼろしもがなつてにても魂のありかをそこと知るべく

雲の上も涙にくるる秋の月いかですむらん浅茅生の宿

いときなき初元結ひに長き世を契る心は結びこめつや

結びつる心も深き元結ひに濃き紫の色しあせずば