限りとて別るる道の悲しきにいかまほしきは命なりけり
宮城野の露吹き結ぶ風の音に小萩が上を思ひこそすれ
鈴虫の声の限りを尽くしても長き夜飽かず降る涙かな
いとどしく虫の音しげき浅茅生に露置き添ふる雲の上人
荒き風防ぎし蔭の枯れしより小萩が上ぞしづ心無き
尋ね行くまぼろしもがなつてにても魂のありかをそこと知るべく
雲の上も涙にくるる秋の月いかですむらん浅茅生の宿
いときなき初元結ひに長き世を契る心は結びこめつや
結びつる心も深き元結ひに濃き紫の色しあせずば