惜しからぬこの身ながらも限りとて薪尽きなんことの悲しさ
薪こる思ひは今日を初めにてこの世に願ふ法ぞはるけき
絶えぬべき御法ながらぞ頼まるる世々にと結ぶ中の契りを
結びおく契りは絶えじおほかたの残り少なき御法なりとも
おくと見るほどぞはかなきよもすれば風に乱るる萩の上露
ややもせば消えを争ふ露の世に後れ先きだつ程へずもがな
秋風にしばし留まらぬ露の世をたれか草葉の上とのみ見ん
いにしへの秋の夕べの恋しきに今はと見えし明け暗れの夢
古への秋さへ今のここちして濡れにし袖に露ぞ置き添ふ
露けさは昔今とも思ほえずおほかた秋の世こそつらけれ
枯れはつる野べをうしとや亡き人の秋に心をとどめざりけん
昇りにし雲井ながらも返り見よわれ飽きはてぬ常ならぬ世に