和歌と俳句

五十嵐播水

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短夜や遅くはじまる俳句会

短夜や一輪生けて深山蓮

炎天やきらりきらりと水車

涼しさや夕襞できし比枝の山

涼しさや大津灯りし水の上

涼しさや夕わだつみの色かはる

滝径の橋つくり来て案内かな

滝道やこのあたりまで木馬道

滝径や花を終へたる鬼薊

滝径の橋流れありかちわたる

滝径や案内の童とつとつと

滝径や茜さしたる額の花

みよしのの茶屋もかからぬ太滝かな

ひたすらにひれ伏す草や滝しぶき

滝壺や流材一本逆立てる

滝の宿郵便函のかかりたる

蜩のつぎつぎに鳴き起りけり