和歌と俳句

五十嵐播水

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隠棲や鬼灯熟るる草の中

肩の上にいつも仔猫や菊いぢり

早咲きのにのぼるや紀三井寺

を見てあれば灯りぬ双林寺

雨の盛りはすこし過ぎたれど

萩叢をうつり消えたる夕陽かな

鞍馬路をはさみての寺二つ

唐辛子色に出でたり花圃荒るる

一面の真葛ヶ原の黄ばみそむ

コスモスの遠くなりゆく渡舟かな

七滝の三滝は見ゆる紅葉かな

戻りくる木馬に逢ひぬ紅葉狩

葭の花葭切鳴かずなりにけり

竜胆に人里遠くなりにけり

手伝ひの赤万女将茸莚

大いなる二つの釜の茸飯

茸山を下りてここに水迅し