和歌と俳句

五十嵐播水

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仲秋やいもり遊べる神の池

秋晴や紫苑のすがれ見えそむる

秋風や親疎別ある両隣

秋風やありし句稿に故人の朱

足袋はいて足のぬくさや秋の雨

あかつきのにはかの霧や花畠

相撲取かたまりありく秋祭

天照す月のさむさや秋祭

妻が買ふ起上り小法師秋祭

明治節明日なる父の誕生日

草相撲見るや来てゐる稲の犬

蜻蛉の群れゐる方に法隆寺

虫取の紅提灯やあちこちに

白露をこぼしてわたる蟷螂

萩叢の靡けば見ゆる芙蓉かな

盆過ぎのただの地蔵や草の花

茸山へ三味を届くる俥夫なれや