まひまひや影ありありと水の底
まひまひや深く澄みたる石二つ
浮草や蜘蛛渡りゐて水平ら
蓮の葉や波定まりて二三枚
田草取田の口とめて去にけり
馬に乗つて河童遊ぶや夏の川
鵜飼の火川底見えて淋しけれ
船ばたに竝んで兄鵜弟鵜かな
お地蔵や屋根しておはす青芒
草の戸や二本さしたる蝿たたき
蚊柱や吹きおろされてまたあがる
蚊を打つて大きな音をさせにけり
高く吊つて蚊帳新しき折目かな
蚊帳の中に親いまは亡し月あがる
ほぞぼそと白き煙や蚊遣香
蚊いぶしに浅間颪の名残かな
水郷や家くぐらする蚊を焼く火
蝙蝠や飼はれてちちと鳴きにけり
山寺や蝙蝠出づる縁の下
蝙蝠や三十六坊飯の鐘
蝙蝠や並んで打てる投網打ち
蝙蝠や飼はれて育つ烏鼠の間
青桐の落花に乾すや寺の傘